2012年9月5日水曜日

中国の風力発電向け部品企業(1):江蘇吉鑫(Jiangsu Jixin)風能科技(青島矢一)


光陰市にある風力発電向けのコンポーネント製造企業である、江蘇吉(Jiangsu Jixin)風能科技を訪問しました。風力発電設備の大型の鋳物を製造しています。主な生産品はBed Plate(台板)とHub(ハブ)です。Jixinはこれら風力発電向けの大物の鋳物で世界シェアNo.1の企業です。副総経理の席氏がインタビューに応じてくれました。



江蘇吉風能科技

3月に訪問したWuxi Qiaolianも同じ鋳物部品の製造企業でしたが、実は前回Qiaolianで聞いた話は、かなりあやしいことがわかりました(多分に誇張と間違いがある。)。中国の人は誇張して話をすることがあるので、気をつけなければいけません。以前のブログ記事は訂正しておきます(http://hitotsubashiblog01.blogspot.jp/2012/03/wuxi-qiaolian-wind-power-technology.html)。


光陰市は風力発電産業の集積地ですが、現在は、需要の低迷によって多くの企業が赤字に陥っています(Wuxi Qiaolianもその1つ)。そうした中にあって、このJixinだけは利益を確保しています。直近の税引き前利益は、1億元(日本円で13億円)です。


Jixin2003年に新たに設立された、いわばベンチャー企業で、2005年に生産を開始しています。生産開始当初は、年1万トン程度を生産し、8,000万元の売上しかありませんでしたが、その後7年間で、6.5億元の売上、1.6億元の利益をあげる企業へ成長しました。20115-6月には上海にも工場を建設しました。年間の生産量が20万トン、部品の数にして1万個程度とすると、発電所5,000基分を生産していることになります。


他社が赤字を出す中で、なぜ利益を確保できているのかと聞いたところ、「品質とR&Dに力をいれてきたからだ」という答えがかえってきました。材料と製造方法に関する特許をもっているのだそうです。


年間に5,000万元のR&D費を投じています。売上比率で8%くらいですから、鋳物の製造企業としては確かに多いと思います。


Jixinの主な顧客は、中国の風力発電企業(シノベルと金風)と米国のGEです。その他、三菱重工や日本製鋼といった日本企業や、韓国企業、ドイツ企業、インド企業も顧客となっています。


現在の世界シェア(Bed PlateHub)は30%ということで、第二位は垂直統合しているデンマークのVestasとのことでした。これらの部品に関するVestasの年間生産量は5万トンだそうです。Vestasでは、ノルウェーでこれらの部品を生産して、完成品をデンマークで組み立てているという説明でした(確認が必要です)。



中国の大型風力発電設備、例えば、シノベルの5MWの発電設備の部品(75トンのBed Plate)はJixinが納めています。最新の韓国の7MWの発電所向けの部品も供給しているそうです。(続く)

**以上の記述はインタビューを元にしており、全て内容の信憑性をきちんと確認できているわけではありません。間違いを見つけ次第、訂正していきます。**



(青島矢一)